この記事でわかること
- インフレーションでお金の価値が下がること
- 資産運用しないこともリスクになること
- 日本がインフレしなくても、世界はインフレしていること
- 日本政府のインフレ目標によれば、30年後には物価は約1.81倍になること
- モデル世帯での老後2000万円問題は、30年後には老後3600万円問題になり得ること
- 資産形成に大切な4つの要素について
- 投資信託やETFはサラリーマンの強力な武器であること
資産形成しないというリスクを認識する
資産形成・投資と聞いて「ギャンブル」というイメージを持っている人もいるでしょう。株やFXで損した経験があったり、周りからそういう話を聞いたりしたら、ネガティブなイメージを持ってしまうのも仕方ないかもしれません。私はそれを全て否定するつもりはありません。資産形成・投資を行う上で、リスクをちゃんと認識することは大切な一面だからです。でも、資産運用を考える上でのリスクって、運用資産がマイナスになることだけではありません。実は、資本主義の世の中において、資産運用をしないということは、自分が稼いだお金の価値が目減りしていくことになります。すなわち、資産運用しないということもリスクであることを認識しておくことが重要です。そのリスクもしっかり理解しながら、資産運用の必要性について考えてみましょう。
インフレーションにより、お金の価値は下がる
インフレーションは、一般的に物価上昇を意味し、同じ金額のお金で同じ商品やサービスを購入する能力を低下させます。例えば、2022年には、ロシアによるウクライナ侵攻や円安の影響などにより、エネルギー価格や食料品の値上がりを実感したと思いますが、2022年度の平均の消費者物価指数(天候による変動が大きい生鮮食品を除く)は前年度より3.0%も上昇していました。これは、2021年に100円で買えていたものが、2022年では103円も支払わなければ買えなくなったということを意味します。小さな金額だと、誤差みたいに感じるかもしれませんが、2021年に100万円の品物が、2022年には103万円と考えてみたら大きな違いです。大切なことなので、もう一度お伝えします。インフレーションによりお金の価値は下がります。
でも、日本はデフレ社会で、インフレは気にしなくてもよいのでは?
確かに日本は、いわゆる「失われた30年」において、経済は低成長が続き、物価も10%程度の伸びにとどまりました。しかし、米国では、名目GDPが1990年の約4倍まで増え、物価も約2倍になっています。中国や東南アジアなどの発展途上国においても、経済成長と物価上昇は物凄いスピードで進んでいます。日本には多数の輸入品が溢れています。これまで安価に手に入っていたものが、安価には手に入らなくなってしまいます。日本以外の国で経済成長と物価上昇が続く限り、輸入品の値段は上がっていくのです。すでに、海外旅行が好きな人は、いかに日本の外食や商品が安いかを実感しているのではないでしょうか。私は、物価も賃金も安定して上がらないデフレ環境に長らく置かれていた日本人が、世界の中で相対的に貧しい状況に置かれてしまうことを危惧しています。既に日本の賃金は安いので、タイ人が海外に出稼ぎに行く先から、日本は外れるほどになっていると言われているくらいですからね。さて、話を戻しましょう、日本ではこのままデフレ社会が続くのでしょうか?
日本政府のインフレ目標は2%
日本国内においてもデフレ社会の脱却、すなわち安定した経済発展とインフレを実現すべく、日本政府は毎年2%のインフレ目標を立てつつ経済政策を行っています。2022年には、物価上昇が生活に与える影響が大きく、歴史的な賃上げも実現しました。2023年も物価は引き続き上昇しており、また岸田総理は、2030年代半ばには最低賃金1500円にすることを目指していると述べています。物価上昇と賃金上昇を伴う日本経済発展の流れが本格的になれば、日本政府が目指す2%のインフレ目標も現実味を帯びてくるかもしれません。そうなると、手持ちのお金を少なくとも毎年2%は増やしていかなければ、資産としては目減りしていくことになります。
老後2000万円は、30年後には老後3600万円問題?
老後2000万円問題は一時期話題になったのでご存知の方も多いでしょう。老後2000万円問題とは、金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」が、老後20~30 年間で約1300 万円~2000万円が不足するという試算が発端となった老後の資金問題です。2000万円という金額は、あくまでモデルケースでの算出ですので、全員が同じ状況に置かれるわけではありませんが、夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯では毎月約5.5万円が不足するため、20~30年間で約1,320~1980万円が足りなくなるという試算に基づいています。
もし、私がモデルケースに該当する場合、将来に向けて2000万円の資金を用意しておけばよいのでしょうか?私はそうは考えません。前述のとおり、日本で毎年2%のインフレが実現すると考えるならば、現在の試算での2000万円は、30年後は1.81倍の3620万円ということになります。豊かな人生を歩むのであれば、インフレリスクにちゃんと向き合うことが重要です。
資産形成に大切な4要素
資産形成をする上で大切なことは、以下の4つです。
- 資産を運用する
- 入金力を高める
- 時間を味方にする
- 国の制度をうまく活用する
これは、複利の力を理解することが大切です。まずは、資産を運用することの重要性を理解するために、100万円をネット銀行の金利0.2%で運用した場合と、日本のインフレ目標2%で運用した場合、そして4%で運用した場合を見てみましょう。
10年後 | 20年後 | 30年後 | |
0.2% | 102万円 | 104万円 | 106万円 |
2% | 122万円 | 148万円 | 181万円 |
4% | 148万円 | 219万円 | 324万円 |
100万円をネット銀行金利0.2%で運用しても、30年でわずか106万円にしかなりません。しかし、日本政府のインフレ目標2%で運用できれば、30年で181万円まで増えています。もう少し詳しく見てみますと、1年目に100万円が102万円になり、次は102万円を元本に2%のリターンが得られるため、2年目は104万400円となります。すなわち、毎年得られるリターンにより運用資金が増え、その増えた運用資金に対してリターンが生まれるため、投資を続ければ続けるほど資金が増えるという好循環が生み出されるのです。これにより、100万円を年率2%で運用した場合、最初の10年間では22万円増えていたのが、次の10〜20年では26万円、そして20〜30年間で33万円も増えていくのです。そして、もし4%で運用できれば、なんと100万円が30年で324万円にまで増えるのです。複利の力を理解すると、銀行のような金利で預金するのではなく、資産運用をすることにより、そして時間を身につけることにより、お金がお金を産んで資産が増えていくという仕組みをよく理解できるでしょう。
続いて、元手を100万円、500万円、1000万円で利率4%で30年間運用した場合を見てみましょう。
初期資金 | 10年後 | 20年後 | 30年後 |
100万円 | 148万円 | 219万円 | 324万円 |
500万円 | 740万円 | 1096万円 | 1622万円 |
1000万円 | 1480万円 | 2191万円 | 3243万円 |
この結果を見ると一目瞭然ですね。複利での運用はその金額が大きいほど効果を発揮します。いかに資金を複利の効果を使って資産運用にまわせるか、すなわち、入金力を高めることの重要性がわかるのではないでしょうか。
そして、資産形成を行う上で大切なことは国の制度をうまく活用することです。投資を通じて資産形成をうまく行えるよう国が制度を整えていますので、iDeCoやNISA/積立NISAを活用しないのは損です。例えば、投資信託で100万円を10年間運用して148万円になった時に利益確定をすると、資産運用で得られた利益に対して約20%が課税されるため、利益に相当する48万円に対して9.6万円も税金が取られることになります。しかし、これをNISA/積立NISAを使って運用していた場合には、非課税になるのです。2024年からは新NISA制度も始まり、資産形成、特に長期投資への環境はさらに良くなっていきます。制度にはメリット・デメリットはあるので、ちゃんと理解しておく必要はありますが、資産形成をうまく行うためにも国の制度をうまく活用しましょう!
投資信託やETFはサラリーマンの強力な武器
資産運用といっても、株式、債権、FX、金、先物取引、不動産、定期預金など、選択肢はたくさんあります。私自身、社会人1年目から投資や資産形成に興味を持ち、個別株、投資信託、ETF、ロボアドバイザー投資、FX(トルコリラ、南アフリカランド)、ソーシャルレンディング、米ドル定期預金などを試してきました。結果として、私は投資信託やETFでのインデックス投資を中心としています。
インデックス投資は、簡単に言うと、日本や米国、新興国や先進国、全世界など、様々なカテゴリーで選んだ株式市場全体の成長率に合わせて資産を運用していくというスタイルです。例えば米国のS&P500という指標(インデックス)に投資するというのは、米国の上場企業トップ500社全体の株式市場の成長率に合わせて資産を運用するというイメージで、S&P500の平均リターンは、過去20年〜30年の実績から計算すると、年8%〜10%です。個別株とは異なり、市場全体にリスク分散しながら、毎月の給与から積み立ていくこととも相性がよく、積立NISAや新NISA制度をうまく活用することができます。何よりも、サラリーマンという本業がある中で、毎日の株価や為替の動きに惑わされ、仕事に集中できないという本末転倒な状況を生み出しません。入金力を高める上では、日頃の仕事は犠牲にはできませんからね!また、コロナショックやリーマンショックなど、短期的に株式市場全体が大きく落ち込むこともありますが、こういう局面こそが実は安く積み立てるチャンスでもあるのです。世界は経済の拡大を続けて行きますので、長期的に資産を運用していく上では、こういう時期にもちゃんと積み立てを続けることが重要なのです。個別株のような個別リスクを背負うことなく、時間と世界経済の拡大を味方につけて、毎月の給料から積み立てを行うことができるインデックス投資は、まさにサラリーマンの資産形成における強力な武器です。
入金力×資産運用×時間
私は、以上のような背景から、インデックス投資を中心としながら、入金力×資産運用×時間
をモットーに、今も将来も豊かな生活を送るために奮闘しています。入金力×資産運用×時間
とは?- 入金力:無駄遣い +本業パフォーマンス向上(リスキリング含む)+ポイ活+副業
- 資産運用:投資信託・ETF中心+個別株、将来に向けてドル資産を意識
- 時間:資産運用は時間を味方に、共働き×子育ては限られた時間の使い方が勝負
そして、投資だけにお金を回すのではなく、経験や体験もかけがえのない財産だと考えているので、趣味の旅行を含めて、豊かな日々を犠牲にしないことも大切にしています。今も将来も豊かな生活を追求するためには、国や社会の制度などについても理解を深め、使えるものはうまく使うことが重要です。このサイトでは、こういう観点で、豊かな生活を送るための情報を発信していきたいと思いますので、皆さんにも参考になれば幸いです!
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